国産GIN「季の美」「六」が史上初の世界トップ5入り

2019年1月に発表したイギリスの飲料業界誌「ドリンクス・インターナショナル」が実施するリサーチ「Annual Brands Report」(年間ブランドレポート)におけるジン部門の「トップ トレンド」カテゴリーにて、京都蒸溜所『季の美 京都ドライジン』が第二位、サントリー『六ROKU GIN』が第五位にランクインするというジャパニーズジンとして史上初のトップ5入りを果たしました。
この2つの国産ジンは、BAR新海で取り揃えている国産ジン数十種類の中でも特に人気の商品です。この受賞がどれだけの名誉なことで、この商品がどのような特徴があるのかを今回はじっくりと紹介したいと思います。

1.ドリンクス・インターナショナルとは

1972年にイギリスで設立されたDrinks Internationalは、世界のスピリッツ、ワイン、ビール市場を専門とする唯一の雑誌で、世界の飲料業界における最新の動向やニュースを国際的な飲料バイヤーに提供しています。

2.「Annual Brands Report」(年間ブランドレポート)とは

ドリンクス・インターナショナルが毎年実施する「Annual Brands Report」(年間ブランドレポート)は、お酒の各カテゴリ毎の「Best Selling(売れ筋)」と「Top Trending(おすすめ)」のランキング形式のレポートになっています。

このランキングの基となるデータは、単純に各製品の売上高等ではありません。このレポートは、ドリンクス・インターナショナルが実施する「The World’s 50 Best Bars」の調査で選ばれたバー100店舗の他、 「Tales of the Cocktails Spirits Awards」、「Asia’s Best Bars」などに選ばれた合計127店舗のBARのオーナー、マネージャー、ヘッドバーテンダーのアンケート回答結果から集計したランキングとなっています。

3.国産ジン2製品が史上初のトップ5入り

今回のレポートの中で我が日本として大変嬉しい快挙がありました。
なんと、GINジン部門の「Top Trending Brandsランキング」で京都蒸留所の『季の美』が2位サントリーの『六 ROKU GIN』が5位にランキングという日本のジンとしては史上初の快挙を果たしました。

”売れ筋”ではなく、”トレンド(おすすめ)”でのランキング。
つまり、世界のトップバーテンダー達が認め、お客様にお勧めしたい商品であるという事です。非常に名誉な事と言えるでしょう。

因みに、1位の『MONKEY 47』は世界有数の蒸留技術と豊かな自然を擁するブラックフォレスト(ドイツ・シュヴァルツヴァルト)に 2008年に開設された蒸留所で生まれたプレミアムなジンブランドです。GIN好きであれば説明不要の逸品。商品名の”47”とは使用しているボタニカルの数。たくさんの香りが調和し、非常に個性豊かな極上の味わいを生み出しています。

4.第2位 京都蒸留所『季の美』

それでは、世界のトレンド第二位に輝いた京都蒸留所『季の美』を紹介したいと思います。

株式会社 Number One Drinksが運営する京都初のジン専門蒸留所「京都蒸留所」で季の美は造られています。

コンセプト

柚子、山椒、檜、玉露… 日本のボタニカルをふんだんに使い、伝統を尊び、京都への思いを込めてつくった和の情緒あふれる味わい

ボタニカルの種類

ジュニパーベリー、オリス、檜、玉露、ゆず、レモン、山椒、生姜、笹の葉、赤しそ、木の芽

特徴

通常ジンは、使用する数種のボタニカルは全て混ぜて蒸留されますが、季の美では11種のボタニカルを特性ごとに6つのカテゴリーに分け、それぞれ別々に蒸留されています。
別々に蒸留させているゆえに、最後にブレンドという工程が必要になります。
蒸留→ブレンド、という通常のジンにはない手間のかかる工程を経ることで、各ボタニカルの特徴がしっかり表れ、尚且つそれらが複層的に重なり合うことで複雑な味わいクラフトジンとなっています。
さらにブレンド後、アルコール度数調整のために用いる水は、名水と名高い「伏見の水」
程よくミネラルを含んだ軟水を使用することで、繊細でまろやかな風味がもたらされています。

5.第5位 サントリー『六 ROKU』

続いて第5位に輝いたサントリーの大阪工場で造られている『六ROKU』を紹介いたします。

コンセプト

日本の自然が育んだ、六種の和素材「桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子」
豊かな日本の四季が育んだ六種のジャパニーズ・ボタニカルを使用し、日本を代表するクラフトジンを目指したROKU。

自然の恵みをもらさず頂くため、それぞれを旬の時期に収穫し、蒸溜。
四季の実りが折り重なるようにして、ROKUの香味を生みだしています。

ボタニカルの種類

日本ならではのボタニカル6種:桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子
伝統的なボタニカル8種:ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、アンジェリカシード、カルダモンシード、シナモン、ビターオレンジピール、レモンピール

特徴

ボタニカルをそれぞれ旬の時期に収穫、素材の特長に合わせた製法で蒸溜することで、桜の香りや爽やかな柚子とお茶の風味、後味に感じる山椒のスパイシーさなどを引き出しました。伝統的なジンの8種のボタニカルも使用し、日本人の繊細な技術によってバランス良くブレンドすることで、複層的で繊細かつスムースな味わいを実現しました。

六角形の瓶に6つのボタニカルのデザインを施すことで中味の特長を表現しています。ラベルは、“日本らしさ”“品質感”を訴求するべく、和紙に墨文字で「六」の文字を描き、金色の六角形のマークを記しました。

6.まとめ:日本人の繊細が技術による日本らしいGIN

この数年で「国産クラフトジン」と呼ばれて、国内の様々なメーカーからGINが発売されるようになり、世界的にも高く評価され、世界各国に流通されるようになりました。
実際、BAR新海でも10数種類の国産クラフトジンを取り扱わせて頂いていますが、ひとつひとつ特徴が異なっていて、日本らしくベーススピリッツに焼酎や泡盛などを使用したものなどもあります。
今回トップ5に受賞した「季の美」と「六ROKU」には2つの共通点がありました。

1.伝統的なジンの製造に使われるボタニカルに加え、日本ならではのボタニカルを使用して日本らしさを特徴としている点。

2.特徴の異なるボタニカルを別々に蒸留し、蒸留後にブレンドする。

日本人の繊細な技術と、日本の歴史と文化、気候が生み出した奇跡と言えるのではないでしょうか。
全世界のどの国にも真似することが出来ない、これぞ「日本のGIN」として今後も更に世界中の多くの方々に日本のGINが飲まれることは間違いないでしょう。